インターネッとなどの通信能力を示す「回線速度」と「通信速度」という言葉がありますが、このふたつが誤解されて使用されている例があるので、ここで整理しておきましょう。
「回線速度」とは、基地局からモデムまたは終端装置(パソコンなどの端末機器をネットワークに接続するための装置)までの通信能力を表します。
「回線能力」と置き換えると分かりやすく、道路でいうと車線の数に例えられます。
1秒間にどれだけデータを運べる能力があるかであって、データが移動する速度を表すものではありません。
ロケットや新幹線、乗用車などのスピードの話ではなく、また一般道で行くか高速道で行くかでもありません。
「下り50Mbps(メガビーピーエス)、上り5Mbps」などと表現し、例えば1Mbpsは、1秒間に日本語を約6万5千文字送ることができる量です。
光ケーブルを使用する回線であれば100Mbpsのサービスもあります。
下りはホームページを見るときなど、インターネットの情報をパソコンで見るときの速度、上りはメールを送信するときなど、パソコンからインターネットへデータを送るときの速度のことです。
下りと上りで速度が違うのは、インターネットの接続に電話回線を使う「ADSL」という方法の場合、光ケーブルと比べて一度にやりとりできるデータの量が少なく、下りを使うことが多いインターネットの利用では、下りが優先されて回線の幅が多めに振り分けられているためです。
写真や映像は文字よりもデータサイズが大きく、回線速度が速いほうがスムーズにデータをやりとりできます。
回線能力が低い場合、写真など大きなデータの受け取りに時間がかかったり、映画などの映像を見ているときに動かなくなったりコマが飛んだりすることがあります。
一方、「通信速度」とは「通信流量」を意味し、インターネット・LANなどのコンピューターネットワークや、携帯電話の無線通信において、1秒間に送ることができるデータの転送量(データを転送する速さ)で表します。
こちらがロケットや新幹線、乗用車で例えることができるスピードのことです。
bps(bits per second/ビット毎秒)にキロ(k)・メガ(M)・ギガ(G)・テラ(T)など、10の累乗倍を表す接頭辞を付け、「kbps」「Mbps」「Gbps」「Tbps」といった単位が使われます。
ちなみに、通信速度10Mbpsなら、1秒あたりの転送できる量は理論上で1.2メガバイトになります。(1バイト=8ビット)
いつも最大の速度で通信が行われている訳ではなく、普段の通信速度は数Mbps以下で、必要に応じて変化しています。
通信速度は通信の体感速度(送信側が伝送を開始してから、または受信側が送信要求を送ってから、受信側に最初のデータが到着するまでの待ち時間など)にも影響し、特に大陸間や衛星を介した遠距離通信に影響します。
現実的には通信速度の速い光回線にしても、プロバイダーの能力などによって体感速度が変わることがあります。